気候条件から読み解く柏崎市に適した住宅
㈲池田工務店、池田一峰です。
さて、前回お話した「地域に最適な次世代のスタンダードとなる快適な住まい」とは?
の大枠を少しずつ整理してみましょう。
今回は
・新潟の気候、風土に適している(冬暖かく、夏涼しい家づくり)
・室内環境の快適性を追求(高気密、高断熱、換気・空調計画、健康的)
このあたりの掘り下げていこうと思います。
新潟県柏崎市の気候
池田工務店の施工エリアは新潟県柏崎市を中心としていますので、できるだけ柏崎市の条件で説明していきます。
まずは柏崎市の気象についてお伝えします。
他地域との違いが無いとピンと来ないと思うので東京都の代表地点と比較してみました。
下の図は2021年の柏崎市と東京の気象データです。
出典:気象庁ホームページ(気象庁|過去の気象データ検索 (jma.go.jp)
出典:気象庁ホームページ(気象庁|過去の気象データ検索 (jma.go.jp))
寒い季節として12月~2月、暑い季節として7~9月の3カ月間に注目してください。
やはりというか、東京と比べて年間を通して気温が低いことが分かります。雪も降りますし。
また、日照時間に至っては柏崎市の冬は明らかに少ないです。逆に夏は東京より日照時間が多いことが分かりました。意外です。さらに夏の平均気温は東京の方が高いですが、最高気温の値は柏崎市の方が高かったりもします。
下の図は2021年1月の新潟と東京の天気を現わしていますが(柏崎市のデータは見つからず新潟としてのデータです。)新潟は晴れの日が少ないですね。
出典:お天気データベースホームページ(お天気データベース (weather-eye.com))
冬をベースに考える
気候条件で考えると柏崎に適した住環境とは冬の寒さをベースに考える必要があることが分かります。つまり、柏崎での家づくりとは冬に暖かい住まいづくりを目指す必要があるのです。まあ、雪国新潟ですし、そんなの当たり前じゃん!と思われたかもしれません。
では今皆さんが暮らしている家やアパートはどうでしょうか。冬、暖かいでしょうか。多くの方は冬寒いのを我慢しながらエアコンや石油ストーブ、こたつなどで乗り切っているのではないでしょうか。しかも電気代も灯油代等の燃料費も重くのしかかってきます。
暖かい家にする具体的な方法はしっかりした断熱性能、気密性能を確保すること。さらに高断熱・高気密であれば、夏の冷房も効率よく行えるので1年を通して快適に過ごすことができます。冷暖房の効率が良くなれば光熱費も下がるのでランニングコストの削減に直結します。
すでにスタンダードになりつつある高気密・高断熱の住宅
新潟市周辺ですでに高気密・高断熱でトップランナーとなっている方々の住宅を見ると、30坪ほどの住宅で性能はHEAT20のG2(こちらの指標についてもいづれ触れます)であれば、エアコン1台(しかも6畳用!)で家全体(玄関も廊下も脱衣場もすべて)を快適な室温に保っています。先日内覧会にお邪魔させて頂いた住宅は(2月の初旬の昼過ぎで外気温3℃でした)エアコン設定温度22度で1階も2階も室温20~21℃でした。息苦しさも全くなく、乾燥もしていない。新潟の冬でこの環境は住まい手にとって良いことだらけだと実感しました。
お邪魔させて頂いた内覧会の様子。性能、デザイン、眺望、アイデアすべて素晴らしい!
暖かい住まいは健康的?
ちなみに世界保健機構WHOは2018年にSDGsのGoal3(健康)とGoal11(まちづくり)の達成に寄与する勧告を出しました。
世界の医学論文をレビューし、①呼吸器系・心血管疾患の罹患・死亡リスク②高断熱住宅に住むことは健康状態改善に関連するかといったエビデンスの確実性は中程度と評価しながらも、世界各国に以下の勧告を出しています。
・冬季室温18℃以上(強く勧告)(小児・高齢者にはもっと暖かく)
・新築・改修時の断熱(条件付き勧告)
・夏季室内熱中症対策(条件付き勧告)
暖かい住まいは健康的だと医学でも証明されはじめています。
また、厚生労働省の数字では、近年ヒートショックで亡くなる方は推計で年間1万9000人という数字を出しています。交通事故で亡くなる方は2020年時点で減少傾向にありますが、年間3000人ほどです。ヒートショックは11月~3月の寒い季節の浴室で頻発しますので、冬暖かい住宅は一定以上健康を担保するのではないでしょうか。
断熱性能を高めれば快適になるのか?
しかし、単純に断熱や気密を上げるだけでは本当に快適な環境にはなりません。太陽からの日射熱取得や日射遮蔽、換気による熱損失など様々な要因があり、暖房エネルギーの消費量なども考慮する必要があるでしょう。設計段階でしっかり計画し、確実な施工を行う必要があります。
この辺も徐々に説明していければと思います。
今回はこの辺で。